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依存症予防教育

依存症は、アルコールや薬物の摂取やギャンブル等の行為を繰り返しているうちにそれをコントロールする脳の機能が弱まってしまう『病気』です。※1
決して、意志が弱いからという理由で依存症になるわけではありません。

周りの大切な誰かが何らかの病気にかかったとき、誰も相手を責めたり罰したりはしないでしょう。けれど、依存症となると「どうして何度も繰り返しちゃうの?心が弱いから?」「そもそもなんで依存症になるの?」と叱責してしまう。依存症になった本人でさえ、自分を意志の弱い人間だと思い込み、自らを責め、事態を悪化させてしまうのです。
依存症から脱するには、本人はもちろん、周囲が依存症を病気であると理解し適切な支援の手を差し伸べることが必要です。誰もが何かを抱えています。その何かが依存症の場合、患者と支援者とを正しくつなげることで、回復への道が見えてきます。※2

※1世界保健機関(WHO)は「精神に作用する化学物質の摂取や、快感・高揚感を伴う行為を繰り返し行った結果、さらに刺激を求める抑えがたい渇望が起こり、その刺激を追及する行為が第一優先となり、刺激がないと精神的・身体的に不快な症状を引き起こす状態」と定義しています。
※2自助グループや自治体の精神保健福祉センター、医療機関などが支援先としてあげられます。

出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/izonshou/tokusetsu.html/)


依存症とは

依存症とは、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにもかかわらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない(コントロールできない)状態になる病気です。

依存症には、大きく分けて 物質依存症(アルコール、ニコチン、薬物など)と 行動嗜癖(ギャンブルなど)があります。これらは、特定の物質や行動を続けることで脳に変化が生じ、症状が引き起こされる病気であり、本人の意思の弱さが原因で起こるものではありません。

日本では、

  • アルコール依存症 約10万人
  • 薬物依存症 約1万人
  • ギャンブル等依存症 約3,000人

が病院で治療を受けています。しかし、多くの方は自分が依存症であることに気づいておらず、治療を受けている人の数は患者数に比べて少ないのが現状です。


依存症の特徴と症状

依存症には、以下のような特徴があります。

1. やめたくてもやめられない(コントロールできない)

「今日だけはやめよう」「これで最後にしよう」と決意しても、ついやってしまう。
「ほどほどにしよう」と思っても、自分で適切なところで切り上げることができない。

2. 慢性・進行性

放置すると症状はどんどん進行し、依存が深まる。
やめることで進行は止まるが、一度依存が形成されると、長期間やめていても元のようにコントロールできる状態には戻らない。

3. とらわれ・のめり込み

依存対象が生活の中心となり、家族・仕事・将来設計など、本来大切にすべきものよりも優先してしまう。

4. 問題の否認

借金や家庭内の問題など、依存によって引き起こされた現実を直視しない。
問題を過小評価したり、事実を認めず攻撃的になったりすることもある。

5. 家族を巻き込んでしまう

家族が心配して注意したり支えようとしたりするが、結果として借金の肩代わりをするなど、目の前の問題解決に奔走することになる。
その結果、家族も身体的・精神的・経済的に疲弊していく。


依存症のサイン

依存症は病気であり、適切な支援や治療を受けることが重要です。
自分や家族、知人が依存症かもしれない」と思ったら、保健所や精神保健福祉センターに相談してください。
依存症について正しい知識を持ち、理解を深めることが、当事者を支援や治療につなげる一番の近道です。


依存症の種類と具体的なサイン

アルコール依存症
  • 健康に問題が生じているのに、飲酒をやめたり、量を減らしたりできない。
  • 飲酒時に暴力や暴言を繰り返しているにもかかわらず、飲酒を続けてしまう。
  • 運転や仕事中など、本来飲酒すべきでない状況でも飲んでしまう。
  • 隠れて飲酒したり、飲酒について嘘をついたりする。
薬物依存症
  • 薬物使用によって健康や社会生活に問題が生じても、やめられない。
  • 逮捕のリスクを理解していても、薬物を使い続けてしまう。
  • 処方薬や市販薬を、本来の目的とは異なる用途で使用する。
  • 薬物を入手するために、多くの時間やお金を費やしてしまう。
ギャンブル依存症
  • ギャンブルの予算や時間の制限を決めない、または決めても守れない。
  • 勝ったときに「次のギャンブルに使おう」と考えてしまう。
  • ギャンブルをしていることを周囲に隠す。
  • 負けたときに「すぐに取り返したい」と思い、さらにギャンブルを続けてしまう。
インターネット依存症
  • 健康や日常生活に支障が出ているにもかかわらず、インターネットの使用をやめたり、減らしたりできない。
  • 食事・睡眠・仕事・学業などよりも、SNSや動画、ゲームを優先してしまう。
  • 利用時間を制限しようとしてもイライラや不安を感じ、結局使い続けてしまう。
  • 利用時間や内容について家族や周囲に隠したり、嘘をついたりすることがある。


このような症状に心当たりがある場合は、一人で悩まず、ぜひ専門機関に相談してください。