ギャンブル依存症とは、ギャンブルを繰り返すうちに経済的・社会的・精神的な問題が生じても、やめられなくなる状
態を指します。ギャンブル障害や病的賭博とも呼ばれます。
日本におけるギャンブルには、競馬、競輪、競艇、オートレースなどの公営ギャンブルのほか、宝くじ、スポーツくじ、パチンコ、スロットといった遊技も含まれます。
ギャンブルを全くしない人もいれば、娯楽の範囲で楽しむ人もいます。ほとんどの人はこの範囲に収まりますが、ギャンブルが原因で金銭的な問題を抱え、生活全体に影響を及ぼす場合、それは「ギャンブル依存症」と呼ばれます。
ギャンブル依存症は、意志の問題ではなく、脳の報酬系の働きに関わる病気です。適切な治療やサポートを受けることで、回復への道を歩むことができます。
従来、ギャンブル依存症のスクリーニングに使われていたのは、「SOGS(South Oaks Gambling Screen)」やアメリカ精神医学会の診断基準(DSM)です。けれど、質問数が多く手間がかかるなどの問題がありました。
そこで、誰でも手軽にできて、問題の早期発見に役立つスクリーニングテストとして日本で開発されたのが「LOST」です。
まずはこれをご紹介します。
*2つ以上あてはまったら、ギャンブル依存症の可能性あり
このスクリーニングテストは、ギャンブル依存症問題を考える会(代表・田中紀子)、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師、筑波大学医学医療系の森田展彰准教授らの調査研究で開発されました。4項目の頭文字をとり「LOST」です。
若者への啓発・予防・早期発見のため、NTTデータとのコラボでLINEアプリのサービスも始まっています。
SOUTH OAKS GAMBLING SCREEN(SOGS)はアメリカのサウスオークス財団が開発したギャンブル依存症のスクリーニングテストで、国際的に用いられています。
通常は「これまでに……」という形で生涯のギャンブル経験について聞きますが、現在の状況を調べるため「過去12ヵ月で……」と聞いている調査もあります。
なお、SOGSの設問には点数としてカウントしないものも入っています。
では設問です。
ご自分の経験を振り返るには「これまで」を、現状について判断するには「過去12ヵ月」を思い浮かべて回答してください。
1・今までにどんなギャンブルを、どのぐらいやっていましたか。【カウントせず】
2・上記のギャンブルを最初にしたのは何歳ですか? 【カウントせず】
3・1日にかけた金額の最高額はどのくらいですか。 【カウントせず】
4・ギャンブルで負けたとき、負けた分を取り戻すためにまた、ギャンブルをしたことがありますか。
【1・2=0点 3・4=1点】
5・実際はギャンブルで負けたのに、勝っていると吹聴したことがありますか。
【1=0点 2・3=1点】
6・自分には、賭けごとやギャンブルの問題があると思ったことがありますか。
【1=0点 2・3=1点】
7・意図していた以上にギャンブルをしたことがありますか。
【1=1点 2=0点】
8・あなたのギャンブルについてまわりの人から非難されたことがありますか。
【1=1点 2=0点】
9・自分のギャンブルのやり方や、ギャンブルによって生じたことについて罪悪感を感じたことがありますか。
【1=1点 2=0点】
10・実際にはやめられないと分かっていても、ギャンブルを止めたいと思ったことはありますか。
【1=1点 2=0点】
11・ギャンブルをしていることを配偶者や子供、その他あなたにとって大事な人に知られないように、ギャンブルの券や宝くじ、賭博用の資金などを隠したことがありますか。
【1=1点 2=0点】
12・お金の使い方について、同居している人と口論になったことがありますか。
【カウントせず】
13・上記が「はい」なら、そのお金に関する口論の原因が、主にあなたのギャンブルだったことがありますか。
【1=1点 2=0点】
14・誰かからお金を借りたのに、ギャンブルのために返せなくなったことがありますか。
【1=1点 2=0点】
15・ギャンブルのために、仕事や学業の時間を浪費したことがありますか。
【1=1点 2=0点】
16・ギャンブルのためか、ギャンブルによる借金を返すためにお金を借りた経験がありますか。
ない場合は次の設問へ。
ある場合は誰またはどこから借りましたか。
【aからiまで、チェックがつくごとに1点】
17・次にあげる人の中に、ギャンブルの問題がある(あった)人はいますか。
【カウントせず】
【判定】点数を合計して
0:ギャンブルの問題なし
1-4:やや問題あり
5以上:ギャンブル依存症の疑い
心配な方は、治療・相談先を活用しましょう。
本人だけでなく家族の相談も受け付けています。
出典:特定非営利活動法人ASKホームページ (https://www.ask.or.jp/article/679/)
※「こころの健康センター」などの名称のところもあります。
各都道府県や政令指定都市の精神保健福祉センターに、ギャンブル依存についての相談窓口があります。地域の医療機関や自助グループについての情報も得られます。
集団のプログラムなどが行なわれているところもあります。
ギャンブル依存症からの回復に関し、さまざまな情報提供を行なっている。
各地で会が行なわれている。
ギャンブル依存症の自助グループ。
アノニマスは「無名の・匿名の」と訳され、本名を名乗る必要はない。
全国各地でミーティングが行なわれている。
ミーティングは基本的に本人のみだが、「オープン・ミーティング」には、家族や関係者をはじめ誰でも参加できる。
ギャンブル問題の影響を受けた家族・友人のための自助グループ。
全国各地でミーティングが行なわれている。本名を名乗る必要はない。
アルコール、薬物、ギャンブル、買い物、ネット、ゲーム、スマホ、摂食障害など、家族や友人に依存症の問題を持つ人のための自助グループ。
薬物・ギャンブル・アルコールなどの依存症への誤解をなくすための提言や調査を行なう団体。家族のオンライン相談会など直接の支援も行なっている。
ASK認定依存症予防教育アドバイザーが主宰するギャンブル依存症のオンライン自助グループ。
Skypeチャットと、Zoomミーティングを開催。
詳しくはこちら
ギャンブル依存症に関しては、必ずしも医療が必要とは限りませんが、受診のメリットとして診断が受けられることや自助グループ・回復施設などへの動機づけになることが挙げられます。
発達障害やうつ病などがギャンブル問題の背景として考えられる場合も、医療機関にかかることが有効です。問題があいまいにならないよう、ギャンブル依存症の専門治療機関や依存症への理解がある医療機関への受診をお勧めします。
出典:特定非営利活動法人ASKホームページ (https://www.ask.or.jp/article/6512/)