インターネット依存症とは、インターネットの使用を自分でコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたす状態を指します。ネット中毒、ゲーム依存症、ゲーム障害、スマホ依存などと呼ばれることもあります。
インターネットに依存するようになると、自宅に引きこもりがちになり、社会生活能力が徐々に低下していきます。さらに悪化すると、食事や入浴、睡眠もおろそかになり、何十時間もネットやゲームに没頭する状態になってしまいます。特に、インターネット依存の問題が深刻な韓国やインドネシアでは、過度の使用が原因で死亡するケースも報告されています。
また、インターネットに依存しているときの脳は、覚せい剤などの薬物を使用しているときと同じような状態になると言われています。そのため、依存状態から自力で抜け出すのは極めて困難です。
インターネット依存・ゲーム障害は、大人だけでなく子どもにも深刻な影響を与えます。子どもの脳は成長発達の途中にあるため、大人以上にネットやゲームの刺激に夢中になりやすく、自分でコントロールすることが非常に難しいのです。
適切な治療や支援を受けることで、インターネット依存からの回復は可能です。早期の対応が重要です。
インターネット依存症の度合いは、どうやって計測すればよいのでしょうか。
現在、いくつかの主要なスクリーニングテストがありますが、その中でも特に多く用いられているのが、「インターネット依存」の概念を提唱したピッツバーグ大学のキンバリー・ヤング博士が作成したDiagnostic Questionnaire (DQ)とInternet Addiction Test (IAT)です。
Diagnostic Questionnaire (DQ)は、8項目の簡単な自己診断で、5項目に当てはまった場合に依存症の危険性を警告するものです。
Internet Addiction Test (IAT)は、20項目の質問について、5段階で回答する自己診断で、その総合点で依存の度合いを計るものです。
特にIATは、多くの調査に用いられ、事実上の標準的な指標となっています。
ただし、いずれも作成時とは環境や機器の状況が大きく変わってきており、新たな標準的スクリーニングテストの作成が待たれるところです。
以下の1~8の各質問について、「はい」、「いいえ」のどちらかに○をつけてください。 インターネットとは、パソコン、携帯、スマートフォン等を通して、使うインターネットサービスで、ゲームやメールなども含むものとします。
1・あなたは、自分がネットに心を奪われていると感じていますか。たとえば、前回にネットでしたことを考えたり、次回ネットをすることを待ち望んでいたり、などです。
・はい
・いいえ
2・ネットを使っている時間をだんだん長くしていかないと、満足できなくなってきていると感じていますか。
・はい
・いいえ
3・ネットの使用を制限したり、時間を減らしたり、完全にやめようとしたけれども、うまくいかなかったことが何度もありましたか。
・はい
・いいえ
4・ネットの使用を制限したり、完全にやめようとしたりすると、落ち着かなくなったり、機嫌が悪くなったり、気持ちが沈んだり、またはイライラしますか。
・はい
・いいえ
5・使いはじめに考えていたよりも、長い時間オンラインの状態ですごしてしまいますか。
・はい
・いいえ
6・ネットのために、大切な人間関係、仕事、勉強や出世の機会を失いそうになったことがありますか。
・はい
・いいえ
7・ネットへの熱中しすぎを隠すために、家族、治療者や他の人たちに対して、嘘をついたことがありますか。
・はい
・いいえ
8・問題からのがれるため、または、嫌な気分から解放される方法としてネットを使いますか。嫌な気分とは、たとえば、無気力、罪悪感、不安、落ち込みなどです。
・はい
・いいえ
上記の設問のうち、5項目以上あてはまる場合、キンバリー・ヤング博士は「インターネット中毒(インターネット依存症)」であると述べています。
出典. Young K. CyberPsychology and Behavior 1998; 1: 237-244.
翻訳: 久里浜医療センターネット依存治療研究部門
インターネットに関する以下の質問にお答えください。この場合、利用する機器は、パソコン、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機などオンラインで使用するすべてを含みます。
各質問の1~20について次の1から5の回答の中から、最もあてはまる番号を1つ選び、クリックしてください。自分に関係のない質問であれば「全くない」を選んでください。
1・気がつくと思っていたより、長い時間インターネットをしていることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
2・インターネットをする時間を増やすために、家庭での仕事や役割をおろそかにすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
3・配偶者や友人と過ごすよりも、インターネットを選ぶことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
4・インターネットで新しい仲間を作ることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
5・インターネットをしている時間が長いと周りの人から文句を言われたことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
6・インターネットをしている時間が長くて、学校の成績や学業に支障をきたすことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
7・他にやらなければならないことがあっても、まず先に電子メールをチェックすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
8・インターネットのために、仕事の能率や成果が下がったことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
9・人にインターネットで何をしているのか聞かれたとき防御的になったり、隠そうとしたことがどれくらいありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
10・日々の生活の心配事から心をそらすためにインターネットで心を静めることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
11・次にインターネットをするときのことを考えている自分に気がつくことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
12・インターネットの無い生活は、退屈でむなしく、つまらないものだろうと恐ろしく思うことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
13・インターネットをしている最中に誰かに邪魔をされると、いらいらしたり、怒ったり、大声を出したりすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
14・睡眠時間をけずって、深夜までインターネットをすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
15・インターネットをしていないときでもインターネットのことばかり考えていたり、インターネットをしているところを空想したりすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
16・インターネットをしているとき「あと数分だけ」と言っている自分に気がつくことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
17・インターネットをする時間を減らそうとしても、できないことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
18・インターネットをしていた時間の長さを隠そうとすることがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
19・誰かと外出するより、インターネットを選ぶことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
20・インターネットをしていないと憂うつになったり、いらいらしたりしても、再開すると嫌な気持ちが消えてしまうことがありますか。
・全くない(1点) まれにある(2点) ときどきある(3点) よくある(4点) いつもある(5点)
注)オンライン=接続している状態 オフライン=接続していない状態
得点が高いほど依存の度合いが強いことになります。
【20~39点】平均的なオンライン・ユーザーです。
【40~69点】インターネットによる問題があります。インターネットがあなたの生活に与えている影響について、よく考えてみてください。
【70~100点】インターネットがあなたの生活に重大な問題をもたらしています。すぐに治療の必要があるでしょう。
開発者Kimberly Young博士からライセンスを得て翻訳・使用
翻訳者: 久里浜医療センターネット依存治療研究部門
出典:独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター:ネット依存のスクリーニングテスト
※「こころの健康センター」などの名称のところもあります。
各都道府県や政令指定都市の精神保健福祉センターに、依存症についての相談窓口があります。
電話や面接での相談を受け付けている他、専門の医療機関など地域の情報を得られます。
ただし、地域によっては、ゲーム障害に対応している医療機関がないところもあります。
多くのセンターで、依存症についての家族の心理教育プログラムなども行なわれています。
ネット依存やゲーム依存などからの回復を目指す自助グループ
ネット・ゲーム依存症向けオンライングループ
ASK認定依存症予防教育アドバイザーが主宰するネット・ゲーム依存症当事者のオンライン自助グループ。
Skypeチャットと、Zoomミーティングを開催。
ネットゲームなど、コンピューターゲームをやめたいと願う人のための自助グループ。
東京の「JUST」内で開催されている。
家族のネット・ゲームの問題で悩んでいる人のための集まり。メールと電話で相談を受け付けており、月例でミーティングを主催している。オンライン参加も可能。
アルコール、薬物、ギャンブル、買い物、ネット、ゲーム、スマホ、摂食障害など、家族や友人に依存症の問題を持つ人のための自助グループ。
東京・郡山・群馬・大阪・奈良・滋賀・神戸・福井などでミーティング開催。
出典:特定非営利活動法人ASKホームページ (https://www.ask.or.jp/article/8404/)