健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する考え方です。企業が従業員の健康に投資することで、病気のリスクを低減し、生産性向上や組織の活性化を目指す取り組みとして注目されています。この考え方は、1992年にアメリカの心理学者ロバート・H・ローゼンによって提唱され、日本では2010年頃から広まり始めました。
近年、日本では少子高齢化による人手不足や健康保険料の企業負担増加といった課題が深刻化しており、従業員が長く健康に働ける環境づくりが企業の重要な経営戦略の一つとなっています。そのため、国も健康経営の推進を支援しており、経済産業省は2014年度から東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」制度を導入し、2016年度からは未上場企業や医療法人も対象とした「健康経営優良法人認定制度」を開始しました。
企業が健康経営に取り組むことで、従業員の活力や生産性が向上し、結果として企業の業績や価値の向上につながると考えられています。健康経営は、単なる福利厚生ではなく、企業の持続的な成長に欠かせない重要な戦略の一つと言えるでしょう。
健康経営が注目される背景には、少子高齢化による労働力不足や従業員の高齢化が挙げられます。労働力不足を補うためには、すべての世代の従業員が健康でモチベーション高く働ける環境が欠かせません。健康的で働きやすい職場は、生産性や定着率の向上につながり、長期的な人材確保の観点からも重要な要素となります。
一方で、長時間労働による過労死や自殺といった社会問題が注目され、長時間労働による労働災害や高い離職率(いわゆるブラック企業問題)は、企業のイメージを著しく損なう要因となっています。健康経営に取り組むことは、こうしたリスクの軽減につながり、企業のイメージ向上にも寄与します。
さらに、従業員の健康維持によって疾病率が下がることは、企業の社会保険料負担の抑制にもつながります。
健康経営を推進することで、長期的な人材確保、生産性の向上、企業イメージの向上、保険料負担の軽減など、さまざまなメリットが期待されます。そのため、従業員の健康支援は単なる「コスト」ではなく、将来への「投資」として考えられています。
・メンタルヘルスとは、英語の Mental(精神的な) と Health(健康) が組み合わさった言葉で、「心の健康」を意
味します。「うつ病などの心の病気にかかっていない=メンタルヘルスに問題がない」という単純なものではなく、たとえば日々大きなストレスを抱えて暗い気持ちになっている状態も、メンタルヘルスに問題を抱えていると言えます。
世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスを「人が自分自身の可能性を認識し、生活における通常のストレスに対処することができ、生産的かつ実りある仕事ができ、さらに自分のコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義しています。
人々が豊かで実りある生活を送るためには、メンタルヘルスの維持が不可欠なのです。
・セルフケアとは、その名のとおり、従業員自身がストレスやメンタルヘルス不調に気付き、適切に対処することを指します。自分のストレスに応じて、しっかりと休息や睡眠を取ったり、運動や旅行、趣味の時間を設けたりすることが効果的です。また、ストレスチェックの結果をもとに自分の状態を見つめ直すことも、セルフケアの一環といえます。
適切なセルフケアを実践するためには、メンタルヘルスやストレスに関する一定の知識が必要です。そのため、企業の皆さまと協力し、従業員のセルフケアを促進するためのメンタルヘルス研修などを実施するお手伝いをご提案いたします。
・ラインケアとは、メンタルヘルスケアの一種で、部長や課長などの職場における指揮命令系統のライン上にいる管理監督者(上司)が、部下・社員の心の健康をケアし、職場環境を改善する取り組みのことを指します。
管理監督者(上司)は、産業医などと比較して部下・社員との接点が最も多く、職場で共に過ごす時間も長いため、メンタルの不調に気づく機会が自然と増えます。さらに、管理監督者は単なる相談相手にとどまらず、業務量や勤務シフトの調整、有給休暇の取得促進、産業医との面談の勧奨など、実効性のある対策を講じやすい立場にあります。そのため、社員のメンタルヘルスを維持するうえで、ラインケアは欠かせない重要な施策となります。
私たちは、管理監督者が部下の様子に気づき、適切なメンタルヘルス対策やケアを実践できるよう、ラインケアの知識や技術を習得するための研修を実施するお手伝いをご提案します。
・女性の勤続年数は確実に伸びています。しかし、女性はライフステージごとにさまざまな健康課題に直面します。
月経、妊娠、出産、更年期など、それぞれのステージで心と体に変化があり、働き続けるためには自身の健康状態を見つめ、ヘルスリテラシーを高めることが重要です。
また、女性が健康を維持しながら働き続けるためには、女性自身の努力だけでなく、職場全体の理解と支援が欠かせません。たとえば、生理休暇が取得しづらく悩んでいる職員がいるかもしれません。女性が安心して長く働ける職場をつくるには、職場全体で女性特有の健康課題を認識し、サポート体制を整えることが不可欠です。
そこで、私たちは、健康に関する正しい知識や情報を得て活用し、女性がいきいきと働き続けられる環境づくりを支援するため、女性の健康に関する研修の実施をお手伝いします。
・ストレスチェックとは、従業員が自身のストレス度合いに気づき、セルフケアや必要に応じた医師の面接指導を受けるために実施する検査です。
質問票に記入することで、自分のストレスの度合いや置かれている状況を把握できます。ストレスチェックの目的は、従業員のメンタル不調を未然に防ぎ、労働環境を改善することにあります。
2025年1月、働く人のメンタルヘルス対策を強化するため、厚生労働省の審議会はすべての事業所にストレスチェックの実施を義務付ける方針を盛り込んだ報告書をまとめました。
ヘルケマでは、ストレスチェックの実施から職場環境の改善まで、窓口を一本化してサポート。
ストレスチェックの結果などを基に、職場環境の改善策をご提案します。
・過重労働とは、月100時間以上、または2〜6ヶ月平均で月80時間を超える残業や休日出勤が続く状態を指し、労働者に対して身体的・精神的な大きな負担をもたらす働き方です。
過重労働は疲労の蓄積を引き起こす主な要因とされ、心疾患や脳疾患、精神障害の発症リスクを高め、健康への深刻な影響を及ぼす可能性があります。
このため、国は過重労働を削減する取り組みの一環として、2019年に労働基準法を改正しました。
ヘルケマでは、ストレスチェックの結果などを基に、職場環境の改善策をご提案します。
・生活習慣病とは、不適切な食生活、運動不足、過剰なストレス、過度の飲酒、喫煙などの生活習慣が原因で発症する病気の総称です。
生活習慣病は、健康で豊かな人生を送るうえでの大きな障害となるだけでなく、国民医療費にも深刻な影響を及ぼしています。
多くの場合、不健康な生活の積み重ねによって内臓脂肪型肥満を引き起こし、これが原因で発症します。しかし、適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙などを実践することで予防が可能です。
健康的な生活習慣を身につけることで、心身ともに充実し、毎日をより楽しく過ごすことができます。
厚生労働省では、生活習慣病予防のために運動施策、栄養・食育対策、たばこ対策、アルコール対策、睡眠対策などの情報を提供しています。
ヘルケマでは、皆さまが健康で生き生きとした人生を送れるよう、生活習慣の改善や予防策の実践をサポートいたします。
・ハラスメント防止を目的とし、職場全体、経営層・管理職、社内相談担当者など、対象層に応じた研修をご提供します。
研修では、ハラスメントの基礎知識や最新の動向、ハラスメントを生まない職場づくり、部下への適切なコミュニケーションや指導方法、被害者・行為者への対応ポイントなど、最適な内容をご提案します。
また、事前に貴社のハラスメント対策に関する課題やお悩みを丁寧にお伺いし、より良い職場環境の実現に向けて、ハラスメント対策担当者の支援を行います。
従業員の健康と同じように、経営者ご自身の心と体のケアも非常に大切です。
「悩みを誰にも相談できない」「いつも一人で抱え込んでしまう」—そんな経営者の皆さまへ、寄り添うメッセージをお届けします。