「夫のお酒のことで何年も悩み、眠れず、仕事中も考えてしまいます。
本人より、私の方が限界かもしれません。自分のことを相談してもよいのでしょうか」
ご本人のお酒の問題に長く向き合うなかで、ご家族の心や身体が疲れ切ってしまうことがあります。「本人の方が大変なのだから」と自分のつらさを後回しにせず、ご家族自身のことを相談して大丈夫です。
ご家族自身に起きていたこと
今回の事例では、次のような状態が続いていました。
- 本人の帰宅時間や飲酒量が気になり、夜もよく眠れない
- 仕事中や外出中も、家で何か起きていないか心配になる
- 飲酒をめぐる言い争いを避けるため、言いたいことを我慢している
- 友人や親族に事情を話せず、一人で抱え込んでいる
- 食欲の低下、動悸、涙が出るなど、心身の不調を感じている
ご家族は「私がもっと上手に支えなければ」「家族の問題を外に話してはいけない」と考え、助けを求めることをためらっていました。
相談で一緒に整理したこと
本人が変わる前でも、ご家族は支援を受けられます
本人が飲酒を問題だと認めていない場合や、相談や受診を拒んでいる場合でも、ご家族だけで相談できます。本人を相談につなげる方法だけでなく、ご家族が受けている影響や、今の暮らしをどう守るかを整理することも大切な相談内容です。
「本人が来ないのに相談してよいのだろうか」と遠慮する必要はありません。
休むことは、見放すことではありません
距離を取る、頼まれごとをすべて引き受けない、自分の予定を優先することに、罪悪感を覚える方もいます。しかし、ご家族が休息や自分の時間を確保することは、ご本人を見放すことではありません。
一人で背負い続けず、できることとできないことを分け、ご家族自身の健康を守る方法を一緒に考えました。
ご家族自身を守るために
まず、ご本人のお酒のこととは別に、ご家族自身の睡眠、食事、仕事、体調を確認します。強い不安や不眠、気分の落ち込みなどが続く場合は、ご家族自身が医療機関や相談機関につながることも選択肢です。
自分にかける言葉の例
「私がすべてを解決しなくてもよい」
「本人が相談しなくても、私は相談してよい」
「休むことや助けを求めることは、家族を見放すことではない」
すぐに大きな決断をする必要はありません。今つらいことを言葉にし、どこから負担を減らせるかを考えることが最初の一歩になります。
ご家族ができる最初の一歩
- 眠れているか、食事が取れているかなど、自分の体調を確認する
- 一人で抱えず、信頼できる人や専門機関に状況を話す
- 本人の飲酒によって困っている出来事を簡単に記録する
- お金、車の運転、暴言など、安全に関わる境界線を整理する
- 本人が相談を拒んでも、ご家族だけで相談を始める
暴力や自傷・他害のおそれ、飲酒運転のおそれ、強い震え、けいれん、幻覚、意識の異常などがある場合は、ご家族だけで対応せず、速やかに警察や医療機関へ相談してください。命に関わる緊急時は119番、身の危険がある場合は110番へ連絡してください。
この記事について/相談対応・執筆方針
運営:一般社団法人HELKEMA(ヘルケマ)
相談対応:ASK認定 依存症予防教育アドバイザー
HELKEMAでは、アルコール依存症の当事者としての回復経験を踏まえながら、ご本人やご家族の気持ちに寄り添った相談支援・情報発信を行っています。
この記事は、医師による診断や医療機関での治療に代わるものではありません。飲酒による健康上の問題や離脱症状などが疑われる場合は、医療機関や専門機関へご相談ください。
HELKEMA代表・相談対応者については、 代表プロフィール・活動紹介 をご覧ください。
医療機関・行政・自助グループなどの相談先を探している方へ
HELKEMAでは、アルコールの問題について相談できる医療機関・行政機関・自助グループなどの情報もまとめています。 ご本人やご家族の状況に合った相談先を探したい方は、 アルコール依存症 相談先一覧 もご覧ください。
ご家族自身のことを相談して大丈夫です
HELKEMAの「お酒と暮らしの相談室」では、ご本人が相談を望んでいない場合でも、ご家族からのご相談をお受けしています。今抱えている負担を整理し、ご家族自身の生活と心身を守る方法を一緒に考えます。