「夫がお酒を飲んだ翌日に、『体調が悪い』と言って仕事を休むことが増えてきました。
本人は『たまたま』『仕事がしんどいだけ』と言います。でも、休む前の日はいつも遅くまで飲んでいるように思います。このままで大丈夫なのでしょうか」
飲酒した翌日の体調不良や欠勤について、ご家族から相談を受けることがあります。最初は「今日は体調が悪いだけ」と思っていても、同じことが繰り返されるようになると、ご家族は「お酒が仕事に影響しているのではないか」と心配になります。
一方で、仕事を休んだという事実だけでアルコール依存症と判断することはできません。大切なのは、飲酒によって本人の生活や仕事、家族との関係にどのような変化が起きているのかを見ていくことです。
ご家族が心配していたこと
今回の事例では、次のような状況が続いていました。
- 以前より夜遅くまでお酒を飲む日が増えている
- 飲んだ翌朝に起きられず、仕事を休むことがある
- 本人は「体調が悪い」「仕事がしんどい」と説明している
- 家族が「昨日のお酒が原因では」と伝えると、本人が否定する
- 欠勤が続くことで、仕事を失わないか家族が心配している
ご家族は、本人を責めたいわけではありませんでした。「仕事まで続けられなくなったらどうしよう」「このまま飲み方が悪化していくのではないか」という不安から、何度も飲酒量を減らすよう伝えていました。
相談で一緒に整理したこと
仕事を休んだことだけでなく、飲酒後に何が起きているかを見る
一度の欠勤だけで、飲酒が原因だと決めつけることはできません。しかし、飲酒した翌日に遅刻や欠勤を繰り返す、朝起きられない、仕事へ行けないといったことが続いている場合は、飲酒と生活への影響を一緒に整理してみることが大切です。
「何本飲んだか」だけではなく、飲酒によって仕事、睡眠、体調、家族との関係などにどのような変化が起きているかを見ることで、相談すべき状況が見えやすくなります。
本人が理由を認めなくても、ご家族は相談できます
本人が「お酒は関係ない」「仕事が大変だから休んだだけ」と話すこともあります。その言葉を否定して、飲酒が原因だと認めさせることだけが解決への入り口ではありません。
本人が問題を認めていない段階でも、ご家族から相談することができます。いつ頃から飲み方が変わったのか、欠勤がどのくらい増えたのか、家庭で何が起きているのかを整理するだけでも、次にできることを考えやすくなります。
本人の仕事を、ご家族が背負いすぎない
本人が仕事を休むたびに、ご家族が会社への連絡を代わったり、欠勤の理由を考えたり、本人が困らないようにすべてを整えたりしている場合があります。
家族として支えることと、本人に代わってすべての問題を引き受けることは同じではありません。ご家族が疲れ切ってしまわないためにも、「本人が自分で対応すること」と「家族ができること」を分けて考えることが大切です。
伝え方の例
「最近、お酒を飲んだ次の日に仕事を休むことが増えていて心配しています」
「お酒が原因だと決めつけたいわけではないけれど、以前と生活が変わってきているのが気になっています」
「仕事を休む連絡は、あなた自身でしてほしいと思っています」
「私は心配なので、一度相談できるところに話を聞いてもらおうと思っています」
「あなたはアルコール依存症だ」「お酒のせいで仕事まで休んでいる」と決めつけるより、実際に起きている変化と、ご家族が心配している気持ちを具体的に伝える方法があります。
ご家族ができる最初の一歩
- 飲酒した日と、翌日の遅刻・欠勤などを簡単に記録する
- 飲酒量だけでなく、睡眠や体調、仕事への影響も確認する
- 本人が飲酒している最中ではなく、落ち着いているときに話す
- 会社への欠勤連絡など、本人ができることまで家族が肩代わりしない
- 本人が相談を拒んでいても、ご家族だけで相談してみる
飲酒後に呼びかけても反応が乏しい、意識がもうろうとしている、呼吸がおかしい、繰り返し激しく嘔吐するなど、命に関わる状態が疑われる場合は119番へ連絡してください。また、飲酒後に車を運転しようとしているなど、ご本人や周囲の人に差し迫った危険がある場合は、安全を最優先にしてください。
この記事について/相談対応・執筆方針
運営:一般社団法人HELKEMA(ヘルケマ)
相談対応:ASK認定 依存症予防教育アドバイザー
HELKEMAでは、アルコール依存症の当事者としての回復経験を踏まえながら、ご本人やご家族の気持ちに寄り添った相談支援・情報発信を行っています。
この記事は、医師による診断や医療機関での治療に代わるものではありません。飲酒による健康上の問題や離脱症状などが疑われる場合は、医療機関や専門機関へご相談ください。
HELKEMA代表・相談対応者については、 代表プロフィール・活動紹介 をご覧ください。
医療機関・行政・自助グループなどの相談先を探している方へ
HELKEMAでは、アルコールの問題について相談できる医療機関・行政機関・自助グループなどの情報もまとめています。 ご本人やご家族の状況に合った相談先を探したい方は、 アルコール依存症 相談先一覧 もご覧ください。
飲酒と仕事への影響についても相談できます
HELKEMAの「お酒と暮らしの相談室」では、飲酒後の遅刻や欠勤など、仕事への影響が心配な場合のご家族からの相談もお受けしています。本人が問題を認めていない段階でも、今起きていることを整理し、ご家族ができることを一緒に考えます。