「夫も飲みすぎていることは分かっているようで、『少し減らす』と言います。
実際に何日かは量を減らすのですが、しばらくするとまた以前と同じくらい飲むようになります。何度も同じことを繰り返していて、このままで大丈夫なのか心配です」
「本人にも減らそうという気持ちはある。でも長く続かない」というご相談があります。本人が問題をまったく認めていないわけではないため、ご家族も「もう少し様子を見れば、自分で減らせるかもしれない」と考えることがあります。
一度うまくいかなかったからといって、本人に意思がないと決めつける必要はありません。一方で、減らそうとしても繰り返し元の飲み方に戻っている場合は、その経過も含めて相談してよい状況です。
ご家族が心配していたこと
今回の事例では、次のようなことが繰り返されていました。
- 本人も「最近飲みすぎている」と話すことがある
- 「今日から減らす」と言って、数日は飲酒量が少なくなる
- しばらくすると、いつの間にか以前の量へ戻っている
- 家族が指摘すると「ちゃんと減らしている」と言い争いになる
- 家族が毎日の飲酒量を確認するようになっている
ご家族は本人の努力を応援したい気持ちがある一方で、何度も同じことが繰り返されるうちに、「今度もまた戻るのではないか」と飲酒量を気にし続けるようになっていました。
相談で一緒に整理したこと
「減らせなかった=意思が弱い」とは限りません
お酒の飲み方は、本人の意思だけで決まっているとは限りません。飲酒が習慣になっている時間帯や、ストレス、睡眠、周囲の環境など、さまざまなことが影響している場合があります。
「本人が約束を守れなかった」という見方だけではなく、どのようなときに飲酒量が増えるのか、減らせていたときと元に戻ったときに何が違ったのかを整理してみることも大切です。
飲酒量だけでなく、生活への影響も見ていく
ご家族が毎日「今日は何本飲んだか」を確認するようになると、本人のお酒を監視することが生活の中心になってしまうことがあります。
本数だけを見るのではなく、睡眠、体調、仕事、家庭での過ごし方など、飲酒によって生活にどのような変化が起きているかも一緒に見ていきます。
本人の飲酒量を、家族が管理し続けなくてもよい
「今日は何本まで」「もうそれ以上飲まないで」と家族が管理しようとしても、長く続けるほどご家族自身が疲れてしまうことがあります。
本人の飲酒をすべて家族が管理することと、本人を支えることは同じではありません。ご家族が監視役になり続けるのではなく、困っていることを伝えたうえで、必要に応じて専門機関へ相談する方法があります。
伝え方の例
「減らそうとしていることは分かっています」
「でも、何度か元の量に戻っていることが私は心配です」
「何本飲んだかを毎日確認するのは、私もしんどくなっています」
「一度、飲み方について相談できるところに話を聞いてもらわない?」
「また約束を破った」「どうしてできないの」と責めるだけではなく、本人が取り組もうとしていることを認めながら、ご家族が心配している具体的な変化を伝えることもできます。
ご家族ができる最初の一歩
- 減らせた日だけでなく、元の飲み方に戻ったときの状況も整理する
- 飲酒量とあわせて、睡眠・体調・仕事・家庭への影響を見る
- 本人の飲酒量を家族だけで管理し続けようとしない
- 本人が落ち着いているときに、心配していることを具体的に伝える
- 本人がまだ相談を希望していなくても、ご家族だけで相談してみる
飲酒後に呼びかけても反応が乏しい、意識がもうろうとしている、呼吸がおかしい、繰り返し激しく嘔吐するなど、命に関わる状態が疑われる場合は119番へ連絡してください。また、飲酒後の運転など、ご本人や周囲の人に差し迫った危険がある場合は、安全を最優先にしてください。
この記事について/相談対応・執筆方針
運営:一般社団法人HELKEMA(ヘルケマ)
相談対応:ASK認定 依存症予防教育アドバイザー
HELKEMAでは、アルコール依存症の当事者としての回復経験を踏まえながら、ご本人やご家族の気持ちに寄り添った相談支援・情報発信を行っています。
この記事は、医師による診断や医療機関での治療に代わるものではありません。飲酒による健康上の問題や離脱症状などが疑われる場合は、医療機関や専門機関へご相談ください。
HELKEMA代表・相談対応者については、 代表プロフィール・活動紹介 をご覧ください。
医療機関・行政・自助グループなどの相談先を探している方へ
HELKEMAでは、アルコールの問題について相談できる医療機関・行政機関・自助グループなどの情報もまとめています。 ご本人やご家族の状況に合った相談先を探したい方は、 アルコール依存症 相談先一覧 もご覧ください。
「減らそうとしても続かない」という相談もできます
HELKEMAの「お酒と暮らしの相談室」では、本人が飲酒量を減らそうとしても元に戻ってしまう場合など、ご家族からの相談もお受けしています。本人がまだ相談を希望していない段階でも、今起きていることを一緒に整理できます。