「もう飲まないと何度も約束したのに、
また部屋から空き缶が見つかりました。本人は『飲んでいない』と言います。何を信じればよいのでしょうか」
隠れた飲酒が見つかると、ご家族は約束を破られた悲しさや怒りを感じます。同時に、「また飲んでいるのでは」と常に確認せずにはいられなくなり、心も身体も休まらなくなることがあります。
ご家族が心配していたこと
今回の事例では、次のような状況が続いていました。
- 家族と「もう飲まない」と約束しても、飲酒が繰り返される
- 部屋や車の中から、空き缶や空き瓶が見つかる
- 本人に尋ねても「自分のものではない」「飲んでいない」と否定される
- ご家族が酒量や隠し場所を確認する毎日になっている
- 信じたい気持ちと疑う気持ちの間で、ご家族が疲れている
ご家族は、お酒を捨てたり、家中を探したり、本人に何度も確認したりしていました。しかし飲酒は止まらず、言い争いが増え、ご家族自身も眠れなくなっていました。
相談で一緒に整理したこと
約束を守る意志だけでは解決しにくいことがあります
飲酒のコントロールが難しくなると、本人が約束した時点では本当に「やめたい」と思っていても、再び飲んでしまうことがあります。約束が守れなかったことを、ご家族への愛情や誠意がないからだと決めつけるだけでは、問題の整理が難しくなります。
本人の言葉だけでなく、飲酒によって健康、仕事、家庭生活にどのような影響が起きているかを確認しました。
ご家族が「監視役」になり続けなくてよい
お酒を探す、捨てる、飲んだかどうかを問い詰めることが続くと、ご家族の生活が本人の飲酒を中心に回り始めます。それでも飲酒を完全に管理することは困難です。
ご家族が本人の飲酒を管理する責任まで背負わず、ご自身の生活と安全を守るために何が必要かを一緒に考えました。
伝えるときに大切なこと
本人が酔っているときや、隠し酒が見つかった直後に問い詰めると、言い争いになりやすくなります。落ち着いている時間に、飲酒の有無を認めさせることより、ご家族が実際に困っていることを短く伝えます。
伝え方の例
「飲んだかどうかを言い争いたいのではなく、私は今の生活に疲れています」
「お酒を探し続ける生活は、もう続けられません」
「あなたを責めるためではなく、私は相談機関に話を聞いてもらいます」
その場で事実を認めさせたり、新しい約束を取り付けたりすることだけを目標にしなくても構いません。話が激しくなった場合は、いったんその場を離れることも大切です。
ご家族ができる最初の一歩
- 飲酒の証拠探しではなく、生活上で起きた出来事を記録する
- 酔っているときには、飲酒を認めさせようとしない
- お金や車の運転など、安全に関わる家庭内のルールを整理する
- 本人が相談を拒んでも、ご家族だけで専門機関へ相談する
- ご家族自身の睡眠、仕事、人とのつながりを守る
飲酒運転のおそれ、暴力や自傷・他害のおそれ、強い震え、けいれん、幻覚、意識の異常などがある場合は、ご家族だけで対応せず、速やかに警察や医療機関へ相談してください。命に関わる緊急時は119番、身の危険がある場合は110番へ連絡してください。
この記事について/相談対応・執筆方針
運営:一般社団法人HELKEMA(ヘルケマ)
相談対応:ASK認定 依存症予防教育アドバイザー
HELKEMAでは、アルコール依存症の当事者としての回復経験を踏まえながら、ご本人やご家族の気持ちに寄り添った相談支援・情報発信を行っています。
この記事は、医師による診断や医療機関での治療に代わるものではありません。飲酒による健康上の問題や離脱症状などが疑われる場合は、医療機関や専門機関へご相談ください。
HELKEMA代表・相談対応者については、 代表プロフィール・活動紹介 をご覧ください。
医療機関・行政・自助グループなどの相談先を探している方へ
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隠れて飲んでいても相談できます
HELKEMAの「お酒と暮らしの相談室」では、ご本人が飲酒を認めていない場合でも、ご家族からのご相談をお受けしています。ご家族が背負っている負担を整理し、これからの関わり方を一緒に考えます。