「普段は普通なのですが、お酒を飲むと夫の口調が急に強くなり、ひどいことを言われます。
翌朝になると本人は『そんなこと言っていない』『覚えていない』と言います。どうしたらよいのでしょうか」
飲酒後の暴言や威圧的な言動について、ご家族から相談を受けることがあります。翌日には本人が覚えていなかったり、普段は穏やかだったりすると、ご家族も「お酒を飲んだときだけだから」と我慢を続けてしまうことがあります。
ご家族が心配していたこと
今回の事例では、次のような状況が続いていました。
- 飲酒量が増えるにつれて、本人の口調が強くなる
- 家族を責めたり、傷つく言葉を繰り返したりする
- 話を終わらせようとしても、追いかけるように言い続けることがある
- 翌朝になると、本人は前夜の言動を覚えていないことがある
- 家族が本人の機嫌をうかがいながら生活するようになっている
ご家族は「飲みすぎなければ優しい人だから」と考え、できるだけ本人を刺激しないようにしていました。しかし次第に、本人が帰宅する時間が近づくだけで不安を感じるようになっていました。
相談で一緒に整理したこと
「酔っていたから」で、ご家族のつらさがなくなるわけではありません
本人が翌朝に覚えていなかったとしても、ご家族が怖い思いや傷つく経験をした事実までなくなるわけではありません。
本人に悪意があったかどうかだけを考えるのではなく、飲酒後の言動によって、ご家族の安心や日常生活にどのような影響が起きているのかを整理しました。
酔っている本人を、その場で説得しようとしなくてよい
飲酒して感情が高ぶっているときに、飲酒量や過去の言動について話し合おうとすると、さらに言い争いが強くなることがあります。
その場で分かってもらうことより、ご家族自身の安全を優先して距離を取ることが大切です。話し合う場合は、本人が飲酒しておらず、比較的落ち着いている時間を選びます。
落ち着いているときに伝える
本人に伝える場合は、「あなたは酒乱だ」「いつもひどい」と決めつけるのではなく、実際に起きた出来事と、それによって自分がどう感じたかを短く伝えます。
伝え方の例
「昨日、強い口調で責められて私は怖かった」
「覚えていないかもしれないけれど、私は傷ついています」
「お酒を飲んでいるときは、この話はしません」
「同じことが続いているので、私は相談機関に話を聞いてもらいます」
本人が「そんなことは言っていない」と否定しても、その場で認めさせることだけを目標にする必要はありません。ご家族が経験している困りごとを整理し、今後どう安全を守るかを考えることが大切です。
ご家族ができる最初の一歩
- 本人が酔っているときには、飲酒や暴言について議論しない
- 暴言や威圧的な言動があった日時と状況を簡単に記録する
- 怖いと感じたときに距離を取れる場所や連絡先を考えておく
- 本人が相談を拒んでも、ご家族だけで相談機関につながる
- 暴力や身の危険を感じる場合は、安全を最優先にする
暴力、物を投げる・壊す、強い威圧、自傷・他害のおそれなどがあり、身の危険を感じる場合は、その場で本人を説得しようとせず安全な場所へ移動してください。身の危険がある場合は110番、けがや意識の異常など命に関わる緊急時は119番へ連絡してください。
この記事について/相談対応・執筆方針
運営:一般社団法人HELKEMA(ヘルケマ)
相談対応:ASK認定 依存症予防教育アドバイザー
HELKEMAでは、アルコール依存症の当事者としての回復経験を踏まえながら、ご本人やご家族の気持ちに寄り添った相談支援・情報発信を行っています。
この記事は、医師による診断や医療機関での治療に代わるものではありません。飲酒による健康上の問題や離脱症状などが疑われる場合は、医療機関や専門機関へご相談ください。
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